一度外に出てごらん。

 プロ野球のペナントレースが佳境をむかえ、野球ネタが多くなってしまい恐縮なのですが、日頃TVを眺めながら想うのが、プロ野球選手だからと言って、全てが一般人より野球の本質を理解している訳ではないのだなと言う事です。正直言って、この辺で軟式野球やっている方々の方が本質を理解していらっしゃる・・・。

 

 あえて「軟式野球」と付け加えましたが、ここがポイントで、先日話題となった延長50回の高校生の軟式野球みたく、軟式はとにかく点も入らなければヒットも出ないのが当たり前。ノーヒットノーランも結構ザラにある事です。ですから、真剣な軟式野球に足を踏み入れると、1点を取る事の大変さと重要さが嫌と言うほど学べるのです。

 

 硬式野球と軟式野球は、完全に別種目の域ですが、同じ野球選手がやる事には変わりがなく、今回僕の提案は、1点の失点の重みを知るなら「軟式野球をやろう」というものです。

 

 あるプロの試合。2番打者の今日の成績「内野フライ、外野フライ」と来ておいての3打席目、スコアは6回裏0-0。3ボール1ストライクから打って結果ショートフライ。

 これ、どう思います?


 2番に入って、何をしたかったのかが全く分からない結果ですよね。普通にプロである話です。軟式なら、とにかくフォアボールを取るためにファールを打ち続ける努力をします。この場面で長打なんていらない。とにかく塁に出て、中軸に回す。それが彼のミッションのはずです。

 

 この2番打者は大学時代は主軸で活躍し、大型内野手として長打も打てますよ。と期待され試合に出ているのですが、大学時代の期待まんまの感覚でバット持ってる。本人は「違う」と言うでしょうが、結果がそう思われても仕方がない内容です。

 

 でも硬式野球だけやってると、こう言う感覚になっても仕方がない面もあります。3点4点差なら、2アウトでもランナー溜めてからドッカーンで追いつける可能性がある。

 ところが軟式野球なら3点差なら試合はほぼ終了。ランナーが3塁にいても2アウトなら、その回はまず点は入りません。なんせヒットが元々出ないから(笑)

 

 だから、軟式野球では「1アウト3塁の状況を作るれか」が全てです。そこでランナーをホームにスタートさせて、内野ゴロをポッコンと叩いて1点。これで1-0の勝ち。

 こんなスポーツです。ソフトボールも似たもの同士。

 

 ボクも軟式を本格的に始めた頃、硬式の感覚で臨んでえらい目に遭いました。野球が分かってねぇと散々に言われたものです。実際、元甲子園球児が意気揚々と軟式野球を始めても、しばらく役には立ちません。

 

 1点を取る為には、3つのアウトを取られる前に、4辺の塁を進む時間が必要です。この時間をいかに作り出すかを学ぶ事が野球の本質を知るのに一番大事な事だと、身を持って体感しました。

 

 プロの選手も、高校球児も軟式をバカにしないで一回真剣にトップレベルの「軟式野球」を観戦されると良いです。パッカーンと遠くに打って点が入る事がいかに楽な事か。1点取られる事がどれだけ大変な事か。取り返す事がもっと大変だと言う「1点の重み」を嫌と言うほど分かりますから。

 学生にはほんとに良い勉強になると思います。