役立つ事に時間を使え

物事を繰り返し行う事、あるいは長い時間身を置く事によって、人はその行為、環境などに慣れていく。

スポーツに関しても、日々の繰り返し(練習)によって技術を身に付けていく。

 

ボクも施術の際、お客様との会話を交えながら手を動かしているとき、脳で意識しながら行っていると言った認識が無い場合が多々ある。これも日々の繰り返しによるもので、身に付いたものと言ってよい。

パワーズファクトリーを立ち上げてから、約4000名の方にお越し頂いた。言ってみれば4000回練習したわけで、それ以前の修業時代も相当な数施術させて頂いたことを考えれば、それだけ繰り返し行えば、少しは上達したと思っても良いのかな・・・。それはまぁ別として・・・。

 

 

物事の繰り返し作業で、おそらくボクの人生の中で、整体施術以上に繰り返し、且つその繰り返しが役に立たなかった事がある。それは・・・

 

「トスバッティング」それである。

 

野球に詳しくない方には分かりづらいかもだが、パートナーが斜め前方から片手で軽く下から放ったボールを正面のネットに向かって繰り返し打つ練習である。

今の様なグラウンドが使用出来ない冬の季節の定番メニューで、ビニールハウスの中でひたすらペチペチと時間が来るまで打ち続けた記憶がある。次男O型左ききの「要領の良さ(楽のしたがり)」NO1であったボクには地獄の時間であった。

 

その結果残念な事に、あれだけ回数トスを振ってきたにも関わらず、

正直言って、春先実戦に入った時

「冬場のあのトスバッティングが役に立ったぜ!」と感じた事は1回もなかった。

未だにあれが何の役に立つのか分からない。

トスが役に立ったと言う方がいるならお会いしたいと思うが、存在するのだろうか?と感じるくらい皆同じ様に思うはずだ。

 

理由はただ一つ。実戦でのバッティングとトスでのバッティングでは、打ち方(ボールの捉え方)がまるで違うからだ。と自分では思っている。

 

パートナーに打球を当ててはいけないから、正面からボールを投げてもらう訳もいかない。結果的に斜め前から投げてもらう事になるのだが、その時点でもうおかしい。いくら鋭い変化球でもあの角度から入って来ることは絶対にない。

 

更にこの練習は右打者でいけば、ほぼセカンドの守備位置の方向からボールが入ってきてセンター方向に打ち返していることになり、それを実戦に置き換えてみると投手が投げたボールを、ショートの守備位置に向かって打ち返している格好になる。日々ボールを三遊間に引っ張る練習をしているのと同じってわけ。

 

そのくせ、冬場に地獄のトスを押し付けてきた指導者側は、実戦になると追っ付けて一二塁間に流すバッティングを推奨したがる。ボクも追っ付けるバッティングが出来てこそと言う理論には賛成だが、実際やっている事はまるで狙いと練習が逆になる。

ずっと引っ張る形の練習をしてきたのに流せと言われてもそんな簡単に出来る訳がない。

 

学生なんかは、どれだけ振ってなんぼ、手の皮を剥いてこそなんぼの様な、変な美学もついてくるから、痛くて痛くて正常な振りが出来なくなり、手が痛くならない振り方を模索し始める。変な打ち方を繰り返し、時が流れるのをひたすら待つ。時間を消化する為だけの練習

こんなんで打てる様になるのならみんな大打者になれる。当時はそれでも良かったからそれを批判する気は皆無だが、これだけ情報を簡単に入手出来る時代になった現代でも過去の停滞したままな事をやっているとしたならこれはいただけない。

 

せめてトススタンドを使うか、小銭抱えてバッティングセンターにでも寄って50球ばか打ってさっさと帰って家で素振りした方が実戦としてはよっぽど役に立つと思う。

トスバッティングをやめろとは言わないまでも、もっと実戦に近い形で打たないと意味がない。

 

それでもボクの時代から進んだ現在でも、午前中はコンクリートの上をダッシュし、そこ鍛える必要あんのか?って箇所のウェイトトレーニングをこなし、午後はただひたすら竹の重いバットで数時間トスを打ち続けると言うあの「冬レン」を行っている話を聞く。

 

結果、相当数の生徒が腰痛を発症しパワーズファクトリーの門を叩く。

身体の硬いままにトレーニングを行いさらに硬くしてから、トスバッティングで1方向への偏った脊柱の回旋運動でとどめを刺す。ボッキリトホホの分離症・・・。

 

「腰が痛いです」と訴えた生徒に「お前は弱い」「楽をしている」と心温まる言葉を投げかける指導者。

指導者のご機嫌を損ねない様に、ケガを隠しながらボクのところで何とかしようと来店される子も多い。

「ここが痛いですなんて絶対に言えない。そんなのがバレたら本当に怒られる」と口を揃えて言う。

 

壊れるようなメニューしか思いつかない挙句にケガにを気づかない。

信じられないが、相当数そんな指導者が存在しているそうな・・・。

いったいなにしとんじゃい!

とボクは声を荒げて言いたい。

 

冬場になるとこの手の学生は必ず何人も現れるので、いい加減今日は敢えて言葉を強めて投げかけてみましたよ。