「礼儀正しいね」の本質

春の選抜高校野球も開幕し、すっかり春色も濃くなってきました。

その甲子園中継を観ながら毎回突っ込みたくなるシーンがあり、それを今年の中継を観てまた思い出したので書いてみようと思います。

 

そのシーンとは・・・試合開始前辺りで流れる各高校の紹介VTRです。

オルゴール音をBGMに郷土の歴史、観光名所等の後に来る、出場高の野球部員の集合コメント。これが面白すぎてしょうがないんです。

 

パターンとして、まず、キャプテンが素振りをするか、ボールを受けるか何らかのワンアクション入れての意気込みコメント~最後にみんながワァーっとなってワッショイワッショイ。

皆さんもご存知ですよね。

 

高校生が短時間のなかで、あぁしよう、こうしようと考えなおかつ最大限アピールしたい気分となるとこんな感じになるのは関の山なのですが、一番の突っ込み所は、キャプテンの喋り方と全員の掛け声なんです。

 

「んちゃ(こんにちは)○○こぅこぅ 主将○○です・・・・」と始まり、最後に

 

「ぜっあいあつぞっ(絶対勝つぞ!)」・・・・「(みんなで)おおおおし!

 

高校の野球部経験がある方あるあるとして、どうしても挨拶が「んちゃ」になってしまい、以降人前で喋るときには必ず(目上の方に対する時)VTRのキャプテンの様な野球部語になってしまうんですね。

ありゃほぼ軍隊のそれです。

オイオイ言ってて何言ってるかも分からんけど、謙虚っぽいのは伝わる。てな感じです。

 

学校内では先生方、先輩方に廊下ですれ違う際は必ず挨拶するのがルールなんで、そのたんびに

「んちゃ」・・・「んちゃ」・・・「んちゃ」

「んちゃ」は鳥山氏作のロボットガールの専売特許のはずですが・・・。

 

挨拶をされる側となれば、すれ違う度に「んちゃんちゃ」言われるので、ほぼほぼにして気持ちが悪いですし、正直に言ってそこに心は感じないものです。

 

挨拶する側は、言えと言われてるからそれこそロボットボーイ化して「んちゃ」を連呼しておけば良いのだから楽な話で、当然心は込めてはいないのです。(ボクはそう思っていました当時)

 

言っときゃいいんでしょ側と言われときゃいいんでしょ側の無駄なコンタクト。

それでも世間様からは「部活動をやる子は礼儀正しい」と評価は頂けるのでラッキーなお話です。

 

でも大事なのはここからで、

「んちゃんちゃ」言えていた礼儀正しきロボットボーイが数年後、大人になって通りすがりのお爺さんに「んちゃ」と言うかと言えばそんなこともなく、しれっと過ぎ去ってしまうのですね。

「んちゃ」と言っててもそれは怖いものですが。

 

要は、野球部と言うレッテルから解放(あえて解放と言う)された時、自分と言う個人として、ニッコリ笑顔で「こんにちは」と言えるようになっているのかと言う事が重要であって、学生に挨拶を指導する前に私個人がそう出来ているのかを見直し、学生にもそれを見せていくのが本当なのだろうなぁと思いました。

 

先日ボク雪かき中に、下校してきた近所の知り合いの小学生だと思って「おかえりっ」って言ったら、全然違う子だったらしく(顔を完全防備で隠してたから)、その子は怯えたように立ち去って行きました。

むずかしい世の中になったものです。トホホ。